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はじめに
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最近の木造軸組工法の建物では、筋かいより構造用合板などの面材による耐力壁が多くなってきている。
しかし、この面材の耐力壁の強度は釘に依存していることがあまり理解されていない。
そのため釘の誤使用、釘の機械打ちなどによる釘の面材へのめり込みなどの問題が生じている。
特に釘のめり込みは現場での大きな悩みである。
今回は釘のめり込みによる、耐力減少などの問題を検証するために
実験を行い、構造用合板仕様による耐力壁の性能を正しく認識してゆくことを目的したものである。
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面材における耐力壁性能の三つの条件
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1)主材料の強度(樹種、含水率)
2)面材の強度(厚み、樹種)
3)釘の強度(長さ、太さ、頭径)
今回の実験は時間的制約もあり、施工精度の違いによる強度の違いを
実験により確認してゆくことを主たる目的とした。
また、供試体は各一本で行ったことからバラツキは考慮していない。傾向を探ったものである。
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最近の建築現場の実状
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最近の建築現場では、釘の打ち込みは機械打ちにより行われているが、釘の種類が正しく利用されていない。PNF2150(梱包用)の釘が利用されていることも多くある。
本来木造軸組工法においてはN50 の鉄丸釘と定められているが、2〜3年ほど前まではN50を使用できる機械もなく、施工性の点から敬遠されていたようである。
しかし、釘の種類が異なれば期待する性能は望めない事はいうまでもない。
今回はN50の連結打ちの性能を主に確認すべく行った実験である。
特に機械打ちによる連結釘の場合は、主材、合板側の異質性(木材、及び合板の場合、
部位により強度は不均一)を配慮し、機械の圧力調整を行うことは難しい。
従って釘のめり込みという現象を生じることになるため、
釘の面材へのめり込み量による性能の検証を行った。
<実験の目的>
1)めり込み量による性能の差
2)合板(ア)9、(ア)12による性能の差
3)増打ちの効果の傾向
4)スーパーエルエル釘の性能
などを視野に入れ、実験を行い、その傾向を確認し今後の取り組みの指針にしてゆきたいと考える。
またあえて公開実験としたのは、建築関係者が共に考え正しい知識の啓蒙の一助になればと思い、行ったものである。
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公開面内せん断試験結果
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| 試験体番号 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
| 釘 種 |
N50 |
N50 |
N50 |
LL釘 |
N50 |
LL釘 |
N50 |
N50 |
| 面 材 |
針葉樹構造用合板 2級3プライ(ラーチ) |
| 面 材 厚 |
9.0 |
9.0 |
9.0 |
9.0 |
12.0 |
12.0 |
9.0 |
9.0 |
| 母 材 |
梁:米松 柱類:杉 土台:桧 |
| めり込み量(mm) |
2.5 |
5.0 |
無し |
無し |
無し |
無し |
2.5 |
5.0 |
| 釘打ち間隔(mm) |
150 |
150 |
150 |
150 |
150 |
150 |
75 |
75 |
| 降伏耐力Py(kN) |
9.30 |
6.59 |
10.14 |
12.47 |
10.12 |
14.23 |
16.10 |
11.23 |
| 終局耐力Pu(kN) |
14.07 |
10.10 |
16.28 |
19.13 |
16.31 |
22.07 |
26.66 |
16.21 |
| 最大耐力Pmax(kN) |
16.05 |
11.35 |
18.25 |
20.97 |
18.20 |
24.38 |
27.78 |
18.03 |
| 特定変位時の荷重(kN) |
12.90 |
10.63 |
11.48 |
11.80 |
10.60 |
13.73 |
19.93 |
16.75 |
| 構造特性係数Ds |
0.23 |
0.29 |
0.24 |
0.28 |
0.24 |
0.28 |
0.31 |
0.52 |
| 短期基準せん断耐力(kN) |
9.30 |
6.59 |
10.14 |
12.47 |
10.12 |
14.23 |
16.10 |
6.25 |
| 壁 倍 率 |
2.61 |
1.85 |
2.84 |
3.31 |
2.84 |
3.85 |
4.51 |
1.75 |
注)上記結果はバラツキ係数及び低減係数を考慮していません。
※当試験は職業能力総合大学校にて朝倉助教授の指導のもと実地しました。
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実験結果を見て
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1)めり込み量による性能の差
厚み9mm合板において、約2.5mmのめり込みによる実験を行った。
めり込み無しの合板と比較し、約10%程度の壁倍率の低下となった。
また、約5mmのめり込みでは、約35%程度の壁倍率の低下となり、
約15cmピッチの中間に5mmのめり込みによるN50の釘の増打ちを行った実験では、
増打ちによる補強効果は認められず、むしろ壁倍率は低下する結果となった。
2)合板9mmと12mmによる性能の差
N50の釘を使用し面材への釘のめり込みの無い供試体により、面材の暑さ9mm、12mmの実験を行った。
結果は9mm合板のほうが、最大耐久時の変位は多少大きかったものの壁倍率には差が無かった。
3)釘の面材のめり込み時の対策
面材9mmにおいて、釘のめり込みが2.5mm以内の場合では、
15cmピッチの中間に補足的にN50の釘を打ち(めり込み2.5mm以内)実験をおこなった、
2.5mmのめり込み時には、補強効果は認められるものの、
釘のめり込みが5mmの場合には釘の補強による強度上の効果は認められず、
むしろ低下の傾向が見られた。
4)スーパーLL釘の性能
N50とLL釘の比較では、厚み9mmの面材、12mmの面材においても最大耐力、靭性共にLL釘のほうが高かった。
特にN50の場合には、9mmと12mmの合板の厚みによる耐力差は無かったものの、LL釘においては、
厚さ9mm、12mmの合板による最大耐力の比較では、厚さ12mm合板が約13%高くなった事は興味深い。
また、N釘とLL釘の比較では、厚さ9mm合板では約14%、厚さ12mmでは約25%ほどLL釘の最大耐力が高くなっている。
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面材における面内せん断試験
(スーパーLL釘の性能)
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釘接合における面材の耐力壁の破壊のメカニズムはパンチングシア(釘のめり込み)に
よる破壊の場合は、脆性的な破壊モードとなりダクタイル(釘の引き抜け)では
急激な耐力の低下は小さかった。
釘のめり込みは、最大耐力の低下にとどまらず、面材耐力壁の靭性にも影響する。
スーパーLL釘のもっとも特徴的な形状は頭径の大きさにあるが、今回の実験においても
釘の面材へのめり込みによる耐力性能の低下が確認できた。
スーパーLL釘はめり込みを防ぎ、まためり込みが生じている建物の補強として使用することにも
効果を期待することが検証できたが、
一方施工性の改良のための検討も必要と思われる。
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